語り女部屋

ふとしたことから始まる転落人生

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蟻地獄への一歩 6

メッセージをくれていたほぼ全てに返事を返した


『メッセージありがと。メッセージを聞いて、貴方に興味を持ちました。もっと貴方のこと、教えて下さい。』


条件が良さそうだと判断した何人かには、


『お話聞いてみたいです。連絡先って教えてくれます?』




そして、公開メッセージに、新たなメッセージを吹き込んだ


『19歳女子大生です。私の処女を買ってくれる人、探してます。』


無論既に処女ではない

しかし、これで自分の値段が上がるような気がした
それに、処女かどうかなんて、簡単に誤魔化せると思っていた



思った通り、数時間で沢山のメッセージが入っていた




蟻地獄への一歩 6

数日してから自分のメッセージボックスに返事が来ているのかどうか聞いてみた

『お仕事』としてお金を貰う為には、男性の返事に対して、更に私から返事を返さなくてはいけないのだ


暗証番号を入力して自分専用のメッセージボックスを開く

かなりの数のメッセージが入っていた



最初から一つ一つ聞いていく

ほとんどが年配の男性からのメッセージ


おこずかいをあげるよ


そんなメッセージばっかりだ



あたしは、何だかウキウキした

もしかしたら…

お金を稼ぐって、すっごい楽なんじゃないの?



自分の父親ほどのおじさん達が吹き込んだメッセージを聞きながら、


あたしは、


自分が提示する条件について考えていた







荒地獄への一歩 5

広告記載の電話番号へ早速電話

何だか未知の危険な世界のような気がして声が震えた

電話の向こうの男は、軽い口調で喋り続けた


それは、今でこそ殆ど見かけないが、当時は大流行りだったテレクラだった

そのサクラの仕事

直接会話する形と、メッセージボックスにメッセージを吹き込む形でのお仕事


話を聞けば聞く程、実際の所大してお金にならなさそうな仕事ではあったが、テレクラ自体に興味が沸き、更にわずかでもお金が貰えるなら…と、登録してみた



暗証番号やらパスワードやらを貰い、早速メッセージボックスとやらに電話をしてみる


アナウンスの声を聞き、操作をし、こう吹き込んでみた


『19歳の女子大生です。毎日暇、誰か遊んで!』

蟻地獄への一歩 4

短大の教室で他の女の子達が持つブランドモノのバッグや財布を眺めながら私の嫉妬心や羨望は日々高まった


あれも欲しい…
これも欲しい…


私の家は、娘に服やバッグを買い与えてくれるような家ではなかった

決して貧しくもないが、特に裕福でもない、ありきたりの中流家庭

両親のどちらも田舎の農家の出身で、コツコツ真面目に生きることしかしなかった

今まで散々金がかかった。短大生にもなれば、欲しい物は自分で稼いで買え、という空気が、何も言われなくとも私には感じられた


ところが、それまで私は簡単なアルバイトさえしたことがなかった


ブランドもののバッグが欲しい
→高い
→お金を手にしなくては
→働こう


当たり前の構図が私の頭の中に出来上がり、早速学校帰りにアルバイト情報誌を買って家へ帰った

両親は共働き
妹は高校生


誰もいない家の中でテレビの前に寝そべり、アルバイト情報誌を捲ったみた


喫茶店のウェイトレス
ファーストフード店の店員
ガソリンスタンドのスタッフ
歯医者の雑用係
スーパーマーケットのレジ打ち


私は、仕事の内容云々よりも、勤務地にこだわっていた

(少しでも街中で働きたい、華やかな場所で華やかな人達に囲まれお洒落に働きたい…)


普通のウェイトレスのバイトから、スナックやクラブ、コンパニオンのページまで舐めるように眺め続け少し疲れた私は、飲む物を取りにキッチンへ行った


冷蔵庫からジュースを出し飲み、飲み終えたコップをキッチンのテーブルの上に置いた時、ふと、テーブルの上にある新聞と求人情報の広告が目に入った


そういえば母親が、最近新しい仕事先を探してたっけ


二色刷りの求人のチラシを手にとって、端から順に求人情報を見た


近所の工場や個人医院、小さなスーパーなどの求人が列んでいた


くるりと裏返した一番端に小さく、私の興味を引く広告が載っていた


『テレホンレディ時給1800円〜2500円男性と簡単な会話をするだけ!貴女の好きな時間に好きな場所で稼いで下さい!』




蟻地獄への一歩 3

入学式のその日、早速新しい友達は出来た。


里緒菜
マリ
さち子



皆、短大付属の女子校からのエスカレーター組だった。


垢抜けていて綺麗。
話す内容も大人びているように思えた。


渋谷のあの店…
バイト先の話…
コンパの話…
友達同士の旅行の話…


ドキドキしながら、相槌を打つだけで1日が終わった。







帰宅し、まず私は鏡を見つめ、どうしたらもっと綺麗になれるか考えた。

帰り道に買った分厚い女性誌を眺めながら、化粧の仕方、ヘアスタイル、持ち物から服装まで、必死になって読んだ。


そして、先ず眉毛を整えようと、毛抜きを出して鏡を見つめ、
『なりたい眉毛』
に近づけていった。


それに一応満足すると、近所のドラッグストアへ行き、安いコスメを幾つか見繕い買った。


それだけで何だかウキウキした気分になって、鼻歌を歌いながら自転車に乗って家まで帰った。





次の朝、髪を洗い、時間をかけてセットし、
夕べ遅くまであれこれ試した自分なりの化粧を施してみた。


鏡の中の自分が、とても綺麗になった気がして満足した。


短大へ向かう最中、私の頭の中は、次の欲しい物の事でいっぱいだった。

あんなカバンに、あんな服に、あんな靴…


欲しい物がいっぱいだ。

手に入れる為にはお金がいる…




蟻地獄への一歩 2

短大の入学式の日、私は周りの女の子達のきらびやかさに目を奪われた。

ブランド物のバックに、綺麗に化粧された顔、上手にセットされた髪…


物凄く垢抜けて見えた。


私は高校では、もてた方だった。

私がどの男の子ど付き合うのか同級生は注目したものだった。

自慢じゃないが顔もスタイルも人並み以上だという小さな自信があった。


だけれど、この入学式の日、自分の田舎臭さを嫌と言うほど味合わされた気がした。

私の精一杯のお洒落はちっぽけなものだった





蟻地獄への一歩

私は「さをり」
家族は両親と妹が一人
田舎のちょっとした進学校を卒業し、都内の短大へ入学した


私が入学したのは、
付属の女子高校が併設された、私立の短大

特に目立って成績の良い学校でもなく
特に目立って特色のある訳でもなく
特に目立って役にたつことも学ばない
所謂普通の短大

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